2015年4月19日 星期日

中国が台湾の「AIIB参加」を拒んだ理由;台湾・民進党が60万人デモ、対中傾斜強める馬政権に抗議

中国が台湾の「AIIB参加」を拒んだ理由 - 野嶋剛

中国政府は4月13日、台湾のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を当面認めないとの判断を下した。これで台湾はいわゆる「創始国メンバー」に入れないことが確定した。中国政府にこの件を決定する「権限」があるのかどうかにも疑問が残らないではないが、もともと中国側は台湾の参加を拒否しない意向を示しており、台湾もだからこそ参加を申請した。しかし、中国が極めて重視する「1つの中国」に関わる台湾の名称問題が絡むため、AIIBだけの問題でなくなり、とりあえず参加を拒否せざるを得なくなったと見られる。
 中国側は、「台湾が適切な名称で参加することを歓迎する」と表明しているように、台湾の参加自体を拒んだわけではない。しかし、台湾問題においては常に「適切な名称」のあり方がトラブルの種になってきた。日本でも昨年、「國立」を故宮展の名前に付けるかどうかをめぐり、台湾側の抗議で展覧会の延期寸前までこじれた事態につながったことは記憶に新しい。
「台北故宮の日本展で浮上した『國立』という名称問題」2013年10月26日
「『國立問題』その後:台湾総統夫人の仕切り直し訪日の意味」2014年8月3日

国民党の苦しい事情

 中国側は「名称問題に関する台湾側の見解について注目している。今後も各方面の意見を聞きながら、台湾の参加問題については妥当な解決を見つけたい」と述べている。
 ここで言われた「見解」とは、台湾の馬英九政権が「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」を使用することを「ギリギリの許容できる線」と最近表明したことを意味していると思われる。
 中国は「1つの中国」の原則のもと、国際機関などに対して、台湾が国名である「中華民国」を使って参加することは厳格に認めない。一方、台湾は自らが「中華民国」という主権国家であるという立場を崩していない。ただ、名称において「国扱い」よりワンランク落とした形は現実的に許容してきた。
 例えば、五輪などの国際スポーツ大会ではこの「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」が使われている。アジア太平洋経済協力(APEC)も同様に「中華台北」でメンバーに入っている。一方、世界貿易機関(WTO)については、台湾の地名を取った「台湾、澎湖、金門、馬祖個別関税領域」という奇妙な名称になっている。
 そして、今回のケースでおそらく参考にされるのは、AIIBのライバルでもあるアジア開発銀行(ADB)におけるその名称の扱いである。
 ADBにおいて、台湾の名称は英語表記で「Taipei,China」、漢字では「中国台北」と訳される。これは、1986年に中国がADBに加盟した際、ADB当局の判断でそれまでの「中華民国」から変更された経緯で生まれた。当時、台湾側は抗議したが、聞き入れられず、今日までこの名称が使われているが、台湾側は基本的に不満を抱いている。なぜなら「中国台北」はあたかも台湾が中国の一部であるかのような印象を与えるからだ。
 一方、「中華台北」は中華民国の名称も一部入っており、中国側との区別がされている語感があり、台湾にとっては受け入れられるものだ。今日、台湾では中国との距離感をしっかり取らないと、ヒマワリ学生運動のように、有権者の反感を買ってしまうことになる。2016年1月の総統選挙を控えるなか、AIIBへの参加は国民党にとって対中関係改善の成果としてアピールできるものなので、進めたいのは山々だ。しかし、台湾の主権が損なわれていると野党の民進党や世論から批判される「中国台北」などの名称を受け入れることもできない。

交渉カードに!?

 そんな事情から、馬政権は先手をうって「中華台北」の実現を強く求めることに傾いたため、中国側も驚いて待ったをかけたのだろう。中国が自らの庭で作り上げたAIIBで、ADBの「中国台北」よりも台湾にとって有利な「中華台北」をすんなり認めるとは思えない。
 あるいは、うがった見方かもしれないが、関係は良好だが選挙情勢で劣勢にある国民党に恩を売るより、中国との対決姿勢を示すと予想される民進党政権の誕生に備えて、台湾に中国の「善意」を示すための交渉カードとしてAIIBの参加問題を利用することを考えたのかもしれない。AIIBの発足は年内とされているが、少なくとも来年の台湾総統選挙に決着がつくまで、この問題はたなざらしされるのではないだろうか。(野嶋 剛)

2008.10.26
【国際】

台北で大規模反中集会 野党主催食品汚染などで不信感
2008年10月26日 朝刊

25日、台北中心部の目抜き通りを人波で埋め尽くしたデモ集会=栗田秀之撮影
写真

 【台北=栗田秀之】台湾の民進党など野党陣営は二十五日、国民党の馬英九政権批判や、中台交渉の中国側窓口機関、海峡両岸関係協会の陳雲林会長訪 台に反対する大規模なデモと集会を開催した。台湾では有害物質に汚染された中国食品の流入で対中不信感が高まっており、中国要人として過去最高位となる陳 会長が訪台する十一月三日に向け、緊迫した状況がさらに続きそうだ。
 主催者発表で約六十万人の市民が「馬英九、辞任せよ」などと訴えながら、台北市内を行進した。
 対中融和政策を進める馬政権に対し、台湾では独立派を中心に「主権を守れ」「台湾は中国の一部ではない」との声が高まっている。中国製汚染粉ミル ク問題への対応にも「中国に弱腰だ」との批判が集まり、民間の世論調査では馬総統に対する満足度が23・6%と、五月の就任以来、最低を記録した。
 馬政権発足以来、初めて大規模デモを主催した民進党は「民衆の怒りと不満を馬総統と中国に訴えるため、総力を挙げる」との姿勢で臨んだ。台湾各地 から続々と人が集まり、この日、「反無能政府」「主権の堅持」「反汚染商品」など五つに分かれたデモ行進のルートはどこも人波で埋め尽くされた。
 集結場所の総統府前では大観衆を前に台湾独立建国連盟の黄昭堂主席が「台湾と中国は別々の国」と主張、民進党の蔡英文主席も「馬政権は中国になびいている」と批判した。粉ミルク汚染問題での中国に対する賠償や謝罪の要求も相次いだ。
 二十一日に訪台中の張銘清・海峡両岸関係協会副会長が暴行を受け、デモ集会への影響が指摘されたが、結果としては逆に「台湾の主権」意識に火が付いた形。民進党は、陳会長の訪台予定の来月三日に合わせ抗議活動を予定しており、陳会長の安全を懸念する声も出始めた。

台湾:台北60万人デモ メラミン混入、中国への抗議

 【台北・庄司哲也】台湾の野党・民進党は25日、対中融和政策を進める馬英九政権や化学物質メラミンを含有した乳製品輸出などに対する中国への抗議を目的に、台北市内で大規模なデモを実施した。同党は約60万人が参加したとしている。
 デモ参加者は、メラミン問題に抗議し「反黒心商品(有毒商品反対)」や、馬政権が進める中国との経済交流の拡大に抗議し「反一中市場(中国との市場統合反対)」などの主張を掲げ、市中心部の総統府前に集結した。
毎日新聞 2008年10月26日 東京朝刊

台湾:野党・民進党、メラミン問題で中国への抗議デモ

25日、台北で馬政権と中国に抗議するデモ隊=AP
25日、台北で馬政権と中国に抗議するデモ隊=AP
【台北・庄司哲也】台湾の野党・民進党は25日、対中融和政策を進める馬英九政権や化学物質メラミンを含有した乳製品輸出などに対する中国への抗議を目的に、台北市内で大規模なデモを実施した。同党は約60万人が参加したとしている。
 参加者は、メラミン問題に抗議し「反黒心商品(有毒商品反対)」や、馬政権が進める中国との経済交流の拡大に抗議し「反一中市場(中国との市場統合反対)」などの主張を掲げ、台北市内を練り歩き、市中心部の総統府前の道路に集結した。
 台湾の対中窓口機関・海峡交流基金会は、中国の対台湾窓口機関の海峡両岸関係協会の陳雲林会長が来月、台湾を訪問すると発表しており、デモはこれに対する抗議の意味もある

台湾で50万人反中デモ、有害食品や中国要人訪台に抗議

2008年10月25日18時42分
写真「中国との統一に反対し、台湾を守ろう」とプラカードで呼びかけるデモの参加者=台北、野嶋写す
 【台北=野嶋剛】中国産食品のメラミン混入問題を非難する台湾の市民が25日、台北で抗議デモをした。主催者の野党民進党によると参加者は60万人に達し、馬英九(マー・インチウ)政権が今年5月に発足して以来、最大規模の抗議行動となった。
 台湾ではメラミン問題をきっかけに反中感情が高まり、21日に中国の対台湾窓口、海峡両岸関係協会(海協会)の張銘清副会長が群衆に突き倒される事件が 起きた。来月上旬には海協会の陳雲林会長が訪台する見通しで、デモ参加者は「陳雲林訪台反対」「陳雲林はメラミン混入を謝罪しろ」と叫び、陳氏を迎える馬 政権に圧力をかけた。
 馬総統は24日、「陳雲林氏とは総統の身分で面会する」と表明。中台関係改善を進める姿勢を強調した。これに対し、中立姿勢をとってきた李登輝元総統は25日、「台湾の主権を弱める馬政権の対中政策は台湾を重大な危機に陥れた」と厳しく批判した。

台湾・民進党が60万人デモ、対中傾斜強める馬政権に抗議


 【台北=源一秀】有害物質メラミンに汚染された中国食品の流入により、住民の反中感情が高まる台湾で、独立志向が強い野党・民進党が25日、対中傾斜を強める馬英九・国民党政権に抗議して台北市内をデモ行進した。

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 陳水・前総統や蔡英文・民進党主席ら約60万人(同党発表)が参加した。
民進党は3月の総統選で政権の座を国民党に奪われ、陳前総統の総統府機密費の不正流用疑惑にも見舞われたことから、劣勢を挽回(ばんかい)する契機にしようと、市内5か所から総統府へ向けて行進。
 中国製の汚染食品流入、経済や教育面での中台関係強化に反対する横断幕とプラカードを掲げ、「中国は賠償しろ」「馬英九は辞職しろ」などと気勢を上げた。
 民進党は28~31日にも台北と高雄で抗議集会を予定している。
2008年10月25日19時49分 読売新聞)

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